肝芽腫の晩期合併症 home


晩期合併症(ばんきがっぺいしょう)とは、治療終了後に出てくる「副作用」や「合併症」と同じようなものですが、治療中は何でもなかったのに治療が終わってからや治療終了後何年も(時には10年以上)経ってから出てくるものもあります。




1. 晩期合併症にはどんなものがあるの?
2. すぐに病院へ連れて行って



  1.晩期合併症にはどんなものがあるの? 

肝芽腫は現在のようなプロトコールを使った集学的な治療を始めたのが1990年ごろですので、当時2才だった子は2018年現在30才です。現在分かっている晩期合併症は、『腸閉塞』、『心筋梗塞』、『心機能障害』、『歯の形成障害』、『聴力障害』、『心の発達の遅れ』などです。その他にも「これは治療の影響ではないか・・」というものはいくつかありますが、はっきりとしているのはこれらです。また、現在分かっているもの以外にも今後あらたな晩期合併症が出てくる可能性はあります。薬剤ごとに出るものについては『薬剤ごとの副作用』を参照してください。

このうち、『腸閉塞』、『心筋梗塞』、『心機能障害』については、症状が現れたらできるだけ早く医師に診せなくてはなりませんが、『歯の形成障害』、『聴力障害』、『心の発達の遅れ』などは医師とともに定期的にじっくりと経過を診ていきます。また、晩期合併症とは少し違うかもしれませんが、退院時には小さかった子が成長することによって子ども自身が「悩み」として抱えるようになるものもあります(傷あとなど)。

急を要する症状以外のものは、専門家との連携や日常での工夫・配慮で何とかやっていかれるものがほとんどですので、あまり心配しすぎないようにして下さい。
「晩期合併症や退院後の問題にはこういうものがある」、ということを知った上で、その子の体力や状態に合わせた生活をしていき、もし晩期合併症が出た場合にはその時に医師や各専門家に相談していくのがよいと思います。




  2.すぐに病院へ連れて行って! 

腸閉塞の疑いがある場合
急激に激しい腹痛を訴え嘔吐する場合、腸閉塞の可能性があります。普通の感染症などでもよくある症状なので素人にはなかなか分かりませんが、「これはちょっと普通じゃない」と思ったら病院へ連れて行ったほうがよいでしょう。開腹し肝臓という大きな臓器を切除すると多少なりともお腹の中で癒着を起こし、それがひどくなると腸閉塞を起こすことがあるのです。

心筋梗塞の疑いがある場合
心筋梗塞は、第二次成長期など身体が急激に成長する時に心臓の働きがそれについていかれなくて起こることがあります。肝芽腫の場合は、まだまだ先のことですが、退院してから一度は心エコーで診てもらうと安心です。


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